まいむのFQ二次創作
- 著・深沢美潮の「フォーチュンクエスト」シリーズの二次創作を公開しています。 トラップ×パステルOnlyで、全くの健全小説です。
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カップリング・パーティー潜入ミッション(1)
シルバーリーブに、マリーナからの依頼が届く。
エベリンで流行っているカップリング・パーティーで、事件が起こっているとか・・・!
そこで、マリーナとパステル、クレイとトラップが潜入捜査をすることに。
果たして、事件の真相は!?
エベリンで流行っているカップリング・パーティーで、事件が起こっているとか・・・!
そこで、マリーナとパステル、クレイとトラップが潜入捜査をすることに。
果たして、事件の真相は!?
「ぱぁーるぅ、トリさんがきたお!」
「へんなトリしゃんデシ!」
わたしが冒険談を書いている部屋に、ルーミィとシロちゃんが飛び込んできた。
ここは、シルバーリーブのわたしたちの家。午後の陽射しが、やわらかく差し込んでいる。
「へんなトリ?どれどれ」
ルーミィは、小さな身体で何かを抱えている。わたしがルーミィの差し出すものを受け取ると・・・
「こ、これ、エレキテルピジョンじゃない!」
ほら、ドーマでトラップ誘拐事件があったときに、使ったじゃない?
犯人が、身代金・・・シロちゃんの宝玉の受け渡し場所を連絡するのに使ったんだけどさ。
さんざんドーマを連れまわされて、大変だったっけ。
通称、電伝鳩。
しかも、どうやら最新型だ。
「なんだぁ?マリーナからじゃねえか」
「あ、ちょっと、トラップ」
ベッドに寝そべっていたはずのトラップが、いつの間にか起きて、私の手からエレキテルピジョンをひったくった。
そう、ピジョンが首から提げてるボードには、マリーナからの伝言を示す文字が点滅していたの。
「マリーナ、エレキテルピジョンなんて高価なもの、持ってるんだねぇ」
わたしが感心していると、ボードを操作していたトラップにデコピンされた。
「い、いったーい!」
「ばぁか、詐欺師ともあろうもんが、いざというときに素早く連絡取れねえでどうするんだよ。アンドラスとか、仲間と共有してんだよ」
「なぁーるほど!」
「とりゃーぷ、なんてかいてあうんだ?」
「マリーナしゃん、どうしたんデシか?」
ルーミィとシロちゃんが興味深々でピジョンを覗き込む。
トラップは、そんなふたりに背中を向けると、
「まぁ待てって。※☆♪♯○△$・・・っと」
最新型は、パスワード式になってるらしい。
トラップが、なにやら入力すると、すぐ本文が表示された。
なになに・・・「カップリング・パーティー潜入ミッション」???
わたしたちは、ダイニングに集合した。
「つまり・・・おれとトラップと、パステルに手伝って欲しいってことだな」
メッセージを読んだクレイが、まとめる。
そうなの、マリーナからの依頼っていうのが。
エベリンで、最近流行っているカップリング・パーティー。
お金持ちの息子が、道楽で始めたらしいんだけど。お年頃の男女を集めてパーティーをして、そこで恋人を作ろうっていうイベントらしいのよね。
そんなことに使えるお金があるって・・・うらやましいというか、なんというか。
正直、お金持ちって、暇なんだなぁって思っちゃった。
まぁわたしの感想はともかく、参加する男女のレベルが高いってことで一気に人気が爆発。今は、紹介者がいないと参加できないくらいになってる。
でも、どうもそのパーティーで、悪いことをしている人がいるらしい。
当日の夜の記憶がなくなってる女の子が続出。
どうやら、なにか薬を飲まされて悪さをされたらしい・・・だって。
そこで、マリーナたち詐欺師仲間のところに、依頼が来たそうだ。
ただ、マリーナたちのところには、そのパーティーに参加できるだけの、若手(?)がいない。もちろん、変装することはできるけど・・・さすがに、ハタチ前には・・・ねぇ。
というわけで、わたしたちのところまで、話がまわってきたってわけなのだ。
クレイとトラップ、そしてわたしの協力が必要なんだって。
まぁ、ルーミィやシロちゃんは当然無理だし、キットンは36歳。ノルも23歳。
いや、年齢制限がなかったとしても、あのふたりは目立つから無理かな。
「じゃあわたしは留守番ですね。キノコ図鑑の編集もありますし、ちょうどいいですよ」
即答したのはキットン。
キノコを分類したり、資料をまとめたりと、今日も相変わらずごちゃごちゃやっていた。
「マリーナ、困ってるなら、手伝ったほうがいい」
力強くうなずいたのはノル。
その横で、シロちゃんもうなずいている。
「るーみぃ、ぱぁーるといっしょにいくー!まいーなとぱーてぃーいくんだお?ごちしょーいーっぱいでうんだお?」
唯一ダダをこねたのはルーミィだ。
「ルーミィ、今回は一緒には行けないの。小さなルーミィは行けないパーティーなのよ」
「やだやだやだぁ、いくんだおー」
わたしがなだめてもダメだ。パーティーといえばご馳走、とインプットされている食いしんぼには、納得が行かないらしい。
困った顔をしたクレイが、ルーミィの頭に手を置いて、言った。
「今度のは、こわーいパーティーなんだぞ。ルーミィの大好きなご馳走に、毒が入ってるんだぞ」
「どくぅ?」
びっくりして目を丸くするルーミィ。
「そうそう、ケーキもステーキも、ぜーんぶヘンな味がするんだぞぉ。一口食うだけで、ハラがものすごーく痛くなっちまうんだぞぉー」
調子に乗ったトラップが面白がって、ルーミィを脅す。あはは、おなかを押さえて、苦しむフリをしてみせてる。
ルーミィは、がっくりと肩を落として言った。
「わ、わかったお・・・ぱぁーる、きおつけていってくうんだお」
かくして、わたしたち3人はヒポちゃんを駆り、砂漠の大都市、エベリンに降り立ったのだった。
「よく来てくれたわね!ありがとう、パステル!」
「他ならぬマリーナの頼みだもん、来るに決まってるじゃない!」
出迎えてくれたマリーナと、きゃあっと抱き合う。
ツンツンしたピンクの前髪と、ゆるやかにウエーブする金髪のロングヘア。
いつも個性的なオシャレをしているマリーナは、今日はエンジ色のスモックみたいなワンピースに、カラシ色のスパッツを合わせていた。
「きゃあー、マリーナちゃん、おれもおれも!」
「トラップはいらないー!」
わたしとマリーナは、ふざけて飛びかかってきたトラップを突き飛ばす。
もー、きゃあーじゃないって!
「ひでぇなあ、なんだよ、この扱いの違い!」
シッシッと追い払われながらも、ニヤニヤしながらトラップが肩をすくめていると、クレイがその頭をどついた。
「なに遊んでるんだ、おまえも手伝え!」
砂漠を走り抜けてきたからね、すっかり砂まみれになってしまったヒポちゃんを、クレイが洗ってくれてたんだ。
マリーナの住むアパートの裏で、水をかけてやると、ヒポちゃんは気持ちよさそうに目を細める。
「じゃあ、ヒポちゃんはクレイたちに任せて、わたしたちはお茶の用意でもしてよっか」
「そうだね、クレイ、トラーップ!あとはよろしく!ヒポちゃん、お疲れ様!」
わたしはマリーナにうながされて、部屋に入った。
「パステル、てめー、卑怯者!・・・だぁぁぁ、ヒポ!身震いをするな!」
「ひゃぁぁ、つめてー!」
背後から、トラップとクレイの悲鳴が聞こえてきたけど、知らんもんねー。
古着屋さんの奥にある、マリーナの小さな部屋で。甘いお茶を飲みながら、マリーナが詳しい話をしてくれた。
「だから、わたしとパステル、クレイとトラップで、それぞれ友達同士で参加したふりをして、潜入するの」
「しかし・・・被害にあった子達の話では、やっぱり何か薬を盛られたってことなんだろ?」
心配そうに口を挟むのはクレイ。
そう、女の子たちは、記憶が途切れてたらしいじゃない。そんなことできるのは、薬か魔法くらいなもんだからね。
神妙にうなずくマリーナ。
「そうね。だから、最悪わたしとパステルが囮捜査をすることになる」
「えええー!!」
お、囮捜査って・・・聞いてないよー。
ビックリしていると、トラップがわたしの頭をポカリとやった。
「ばーか、ったりめーだろ。女が狙われてるってのに、おめーらが囮にならないでどーすんだよ」
「そりゃそうだけどさー」
あうう・・・だよね、まさかトラップやクレイが女装するわけにもいかないし。
クレイもそれは分かっていたようで、うなずきながらマリーナに言った。
「そのためにおれたちが来てるんだろ?危険は危険だけど、このままそのパーティーを続けさせるわけにもいかない。マリーナのことだから、何かいい方法を考えてるんだろ?」
マリーナは軽く頬を染めて、お茶のカップに口をつけてから言った。
「うん、アンドラスや仲間たちが、臨時雇いのボーイとして裏方に入ることになってる。それに、一人になったところを狙われてるから、一人にならなければ大丈夫よ」
なるほどね。アンドラスたちもいるなら、心強いかも。
当日は、参加者の誘導や、食事や飲み物の給仕をするそうだ。
「パーティーが始まったら、適当なところで、クレイとトラップはわたしたちに声を掛けてちょうだい。そうね・・・そこからは、手分けして行動しましょう。怪しい動きをしている男がいないか、いつの間にかいなくなってる女の子がいないか見張って・・・あとは、おそらく薬を保管している場所や、女の子が連れ込まれる部屋が用意してあるはずよ」
マリーナはテーブルの上に見取り図を広げた。
主催者のお屋敷の、離れを丸ごと使ってパーティーは行われるらしい。
大きなホール、そして吹き抜け。2階にはそれを囲むように控え室が並び、1階のホールの奥にはキッチンなどの裏方、玄関の反対側は庭に面したテラス。
典型的なパーティー会場のようだ。
しっかし、広そう!
だって、見取り図だけじゃ広さまで分からないけど、控え室の数だけ見ても・・・20個もあるよ!
裏方だってキッチンだけじゃない、衣裳部屋、倉庫、リネン室・・・スタッフの休憩部屋まである。
「これだけ調べるのか・・・」
さすがのクレイもうんざりした顔だ。
「そうね、だから、手分けをしたほうがいいと思う。わたしとトラップは1階のスタッフ関係の部屋、パステルとクレイは2階の控え室ね」
マリーナがわたしたちの顔を見ながら、見取り図を指していく。
「ちょい待ち。その組み合わせ、やばくねえ?」
口を挟んだのはトラップだ。
「おれとマリーナが組むのは別にいーんだけどさ、こいつとこいつをペアにするのはやばいと思うぜ」
と、わたしとクレイを指差す。おもわずクレイと顔を見合わせた。
マリーナも不思議そう。
「なんで?」
「もし誰かに怪しまれたらどーすんだよ。方向音痴なパステルと、バカ正直なクレイ。ごまかすとか逃げるとか、できるわけねえって」
がーん。
でも、言葉もない!
クレイとわたしが、「おまえたち、そこで何してる!」って言われて、おたおたしてる図が目に浮かぶ。んでもって、「パステル、ここはおれに任せて逃げろ!」ってクレイに言われて逃げるわたし。そして、広い離れで道(?)に迷って・・・
た、たしかにー!
「しかも、不幸のクレイちゃんだぜぇ?何もないわけがねーって。なあ、パステル?」
どーんと落ち込むクレイ。
うなずくわけにもいかず、わたしは曖昧に笑って言った。
「たしかに、わたし、何かあったときにごまかせる自信ないかも・・・」
「そんなぁ、パステルだってこれまでいろんなこと乗り越えてきたんだもん、なんとかなるわよ!」
「う~ん・・・でも、せっかくの作戦台無しにしちゃっても困るし」
「・・・そしたら、わたしとクレイ、パステルとトラップでのコンビでいく?」
ああーー、そっか、そうなるのか!がーん。
トラップとわたし・・・それはそれで不安なんですけど・・・
ショックを受けるわたしの顔を見て、トラップがぶーたれた。
「それが一番いいんだっつーの。最初っから、おれとマリーナだけで充分なくらいだ」
「なんてこと言うのよトラップ、そんなことない!これだけの規模のパーティーに潜入するんだもん、2人だけじゃなんともならないことのほうが多いのよ!」
すかさずトラップを押しのけて、マリーナがフォローしてくれた。
優しいな、マリーナ。
わたしは、にっこり笑って言った。
「大丈夫、やれるだけのことはするし、トラップの邪魔はしないから。ね、トラップ?あなたが言い出したんだから、クレイの代わりにちゃーんとわたしのこと守ってよね!」
ニヤニヤしてわたしを見ていたトラップ。そのわたしの一言に、ムッとしたようすでそっぽを向いた。
ふふん、わたしだって、言われっぱなしじゃないんだもんねーだ!
「パステル、大丈夫?」
わたしとマリーナは、男ふたりを追い出して、パーティーのための衣装選びをしていた。
なんせマリーナは古着屋さんだからね。普通の洋服はもちろん、正装やドレス、こんなのいつ着るの?っていうキグルミみたいなものまで、なんでもござれだ。
わたしは、手に持っていた薄ピンクのドレスをハンガーに掛けなおしながら、マリーナに応える。
「トラップのこと?・・・さすがにもう、慣れたよ。わたしが方向音痴なのは確かだし、クレイよりはトラップのほうがこういう場合にはフォロー効くと思うし。だから、マリーナはクレイのこと、よろしくね」
そう、いちいちトラップ相手に落ち込んでてもしょうがない。
一時期はそれが辛くて、冒険者辞めようって思ったこともあったけど・・・やつは、あれでもわたしやパーティのこと、大事に思ってくれてるんだもん。
きっと今回だって、それがああいう言い方になってるだけなんだから。
わたしの方向音痴も、クレイの不幸も、どーにもならないからねー!・・・ははは。
「ほんとはマリーナだって、クレイと組みたかったんでしょ?」
わたしが、まだ心配そうなマリーナににっこり笑ってみせると、彼女は顔を赤くした。
「そんなことはないけど・・・ま、大丈夫。クレイのことは任せて。でも、トラップだって、パステルと行きたかったからあんなこと言い出したのよ?」
「やだ、マリーナったら!そんなこと言って誤魔化さなくたっていいのに。トラップは、仕方なく言ったに決まってるじゃん」
もう、マリーナったら、照れ隠しのようにそっぽ向いてそんなこと言うんだもん。
笑っちゃうー。
わたしは、マリーナの背中をばしばし叩いて言った。
「あとで、『ったく、おれがいなかったら今頃どうなってたことか!』って言われるのよ、きっと」
マリーナは一瞬ヘンな顔をしたものの、ニコッと笑った。
「それはあるかもね。さ、ドレス、決めちゃいましょ。早くしないと、メイクする時間がなくなっちゃうわ!」
わたしが選んだのは、薄いピンクのロングドレス。つやつやした生地に、刺繍がいっぱいあって・・・チャイナドレスって言うの?襟が立ってて、変わったボタンがついてる。
とっても可愛いんだけど、なんとロングドレスの両サイドには深ぁぁぁいスリットが!
そのドレスを試着するまで気づかなかったわたし。
「うそ!こんなのダメ!」
って言ったんだけど、マリーナに無理やり決められてしまった。
普段ミニスカートはいてるから、そんなに変わらないだろうって?いやいやいや、そんなことない。もともと短いのと、スリットが入ってるのは、気分が相当違う。
髪は、マリーナがふたつのお団子にしてくれた。
そのマリーナは、わたしに合わせてくれて、同じチャイナドレス。色はシックに黒だけど、白い刺繍がいっぱい入ってて、ぱっと見はシルバーみたい。丈は、「何かあったときに動きやすいように」って、ものすごくミニ。セクシーな足にはガーターベルトつきの黒タイツ。ピンクの前髪はそのままで、あとはお団子にして毛先だけふわふわと垂らしている。
支度が終わって、クレイとトラップと合流すると、彼らは黒のスーツをバッチリ決めていた。
アンドラスの家で、着替えをさせてもらったんだよね。そのアンドラスも、今はおそらくパーティー会場へスタッフとして、仲間たちと向かっているだろう。
「おおー、さすがマリーナ。かっこいいじゃん」
クレイに言われて、恥ずかしそうにうつむくマリーナ。
一方トラップは、わたしのドレスの裾を指差して爆笑した。
「ひょー、パステル、なんだよそれ!いきなり破っちまったのか?」
「ばか!違うわよ、こういうデザインなの!」
は、恥ずかしいー!!
だめだ、立ってるだけならともかく、歩くと足がモロ見えなんだもん!
「せっくしぃぃぃ~」
だーかーらー、口笛を吹くなー!
「や、パステルも似合ってるよ。見違えるな」
ううう・・・クレイも、ついでのように言わないで欲しい。
そりゃ、マリーナに比べりゃ顔もスタイルも劣りますよー!
とはいえ、ふたり並ぶと双子か姉妹のよう。色もデザインも対照的だけど、インパクトがある。
うむむ、これなら見劣りしないぞ、わたしも!
なんて、変なとこで気合が入っちゃったりして。
わたしたちはパーティー会場になるお屋敷へと向かったのだった。
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プラグイン
60000Hit,Thanks!!
ただいまキリリク停止中
はじめに
プロフィール
HN:
まいむ
HP:
性別:
女性
自己紹介:
中学生の時にフォーチュンクエストにはまり、一時期手放していたものの、最近になって改めて全巻買い揃え・・・ついには二次創作まで始めてしまいました。まだ未熟ですが、自分の妄想を補完するためにも、がんがん書いていきたいと思ってます。
温かく見守ってくださる読者様募集中です。
温かく見守ってくださる読者様募集中です。
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