まいむのFQ二次創作
- 著・深沢美潮の「フォーチュンクエスト」シリーズの二次創作を公開しています。 トラップ×パステルOnlyで、全くの健全小説です。
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小鳥の告げ口
シルバーリーブでの一日。
家の周りで、妙に小鳥たちが騒いでいて・・・
※ノル視点です。
家の周りで、妙に小鳥たちが騒いでいて・・・
※ノル視点です。
おれは、シルバーリーブの市場を、キットンと歩いていた。
「いやー、ノル、助かりましたよ。こんなにも売れたのは、ノルのおかげですね」
キットンのもさもさした頭が、揺れている。
巨人族のおれの、胸くらいの高さだ。
今日は、シルバーリーブのバザーの日。
前もってズールの森に行き、キットンはたくさんのキノコや果実、薬草を採っていた。
バザーで売るんだとはりきっていたので、おれも何回かついていった。
ボディーガードも必要だったし、キットンは一人で行くと、時間を忘れてしまうらしく、夜になっても帰ってこないからだ。
「キットンったら、またズールの森?」
パステルがよく怒っていた。
「パステル、キットンは、バザーでキノコを売るんだ」
おれが言うと、パステルはさっと顔を赤くした。
「そ、そっか~・・・それで最近・・・キットンも、家計のこと考えてくれてるんだね」
・・・買いたい薬があるって言ってたから、それはどうかな。
思ったけれど、キットンのためにもパステルのためにも、おれは黙っておいた。
そうやって集めたたくさんのものを、もちろんキットンだけではバザーに持っていけない。
大きな布袋が3つ。
背の低いキットンが持つと、ひきずってしまうほどの大きさだ。
それで、おれもついて行った。
市場の通りで、みんな思い思いに敷物を敷き、いろんなものを売っている。
古着や雑貨を売っている人もいれば、手作りのおかずを売っている人もいる。
「いらっしゃいいらっしゃい、あげたてのフライドチキンはいかが?」
「さあさ、まだ新しい服がいろいろあるよ!いっぱい買ってくれたらオマケするよ!」
みんな呼び込みをして、自分の品物をアピールしていた。
キットンも負けじと、声を張りあげるが。
「そこの奥さん、このキノコいかがですか!おなかの中でふくれてしかもローカロリー!ダイエットにはピッタリですよ!」
なんてふくよかな女性を呼び止めたり。
「そこのお兄さん!この薬草の絞り汁を頭にかければ、もりもり髪が生えてきます!」
なんて髪の薄くなった男性に叫んだり。
キットンは気づいていないようだが、かなり失礼なことを言っている。
実際、声をかけられた人たちもムッとしているようだ。
「これ、これ、この果物は、うまい」
しかし、おれが何度か助け舟を出して、適当な果物をすすめると、けっこう売れる。
売れるのは面白いが・・・
これなら、クレイが一緒に来たほうがよかったかもしれない。
パステルも強力な助っ人になってくれそうだ。
トラップだと・・・お客さんと喧嘩になりそうだな。
それでも数時間もすると、山盛りだった品物は、全部売れていた。
「じゃあノル、わたしはちょっと買い物してきますから」
売り場を片付けて、お金を大事に抱えたキットンと別れて、おれは村はずれの家に帰る。
モンスターに襲われて一度は焼け落ちてしまった家も、村のみんなが建て直してくれた。
それから少しずつ家具も作って、やっと落ち着いて住めるようになった。
こんなに嬉しいことはない、とおれは思う。
体が大きいから、宿に泊まるときは馬小屋や納屋を借りていた。
馬も好きだし、ワラのベッドも好きだが。
でも、一人だけというのが、寂しかった。
今はキットンと一緒の部屋で、隣の部屋にはパステルやルーミィやシロ、その向こうの部屋にはクレイとトラップもいる。
家を買ってから、前よりも、みんな家族らしくなったと思う。
思いやりって言うのかな。
食事当番も、掃除もみんなでやっている。
そうだ、今日の食事当番はパステルだっけ。
「パステル、ただいま」
気持ちのいい風が通り抜ける家の中。
開け放されていたパステルたちの部屋に、声をかけた。
冒険談を書いていたのか、机に向かっていたパステルが振り返る。
「おかえりー、ノル。もうそんな時間なのね?」
そのパステルの部屋のベッドでは、トラップが昼寝をしていた。
この部屋は特に日当たりがいいから、確かに気持ちいい。
おや、ルーミィとシロがいないな。
「パステル、ルーミィとシロ、どうした?」
大きく伸びをしていたパステルは、きょとんとして首をかしげた。
「そういえば。たぶん、庭で遊んでると思うんだけど・・・ごめん、ノル。ちょっと様子見てきてくれる?」
「わかった」
「もうぅ、トラップ!いつまでここで寝てるのよ!」
パステルが、寝ているトラップをベッドからひきずりおろしている。
おれにとって、妹と弟のようなふたり。
パステルはよく泣くし落ち込むところも多いけれど、いつも一生懸命だ。
トラップは口が悪いしトラブルもよく起こすけれど、実は人一倍努力家だ。
ふたりはわいわいとじゃれあっている。
そのふたりを部屋に残して、おれは、ルーミィとシロを探すために庭へ出た。
ルーミィとシロは、裏庭で花を摘んで遊んでいた。
「あ、ノルしゃん、おかえりなさいデシ!」
「のりゅぅ~、みてみて!おはないっぱいだおぅ!」
ルーミィの手には色とりどりの花がたくさん握られている。
「ルーミィ、貸してごらん」
「なんだぁ?」
花かんむりを作ってやろう。
おれは、花を順番に編んでいく。
ルーミィが、目をきらきらさせておれの手元を覗き込んでいる。
「ノルしゃん、上手デシ」
シロもぱたぱたとしっぽを振りながら、編みあがっていくかんむりを見ている。
おれは、できあがったかんむりをルーミィの頭にのせた。
「わぁ~い、おひめしゃまみたいだおう!」
「よかったデシね、ルーミィしゃん」
「シロも欲しいか?」
おれは、シロのために、花で小さな輪を作ると、右足につけてやった。
「ありがとさんデシ」
「しおちゃん、ぱぁーるにみせにいくおぅ!」
ふたりは家の中へ駆け込んで行った。
おれはふたりを見送って、立ち上がる。
なんだか、小鳥たちがいつもよりも騒がしい。
家のまわりをぐるりとまわってみると、ひとつの木が一段とにぎやかだった。
「ぴー、ちゅくぴぉー?(どうしたんだ?)」
おれが鳥の言葉で尋ねると、一斉に答えが返ってきた。
「ぴちゅちゅちゅ・・・(あら、お兄さん、ちょっと聞いてくださる!?)」
「ちっちちちー・・・(わたしたちの住処の木にね、いっきなり人間の男がやってきてね)」
「ぴちちっ、ぴっぴー!・・・(追い出されちゃったのよ!)」
それは大変だ。
小鳥たちはとても興奮していて、羽をばさばさやっている。
「ぴー!・・・(あの木よ、あの木!)」
おれは、鳥たちが指す木を見る。
家に近いところにある、大きな木だ。
「ぴぴぃー!・・・(お兄さん、なんとかしてちょーだい!)」
木漏れ日に目を細めながら見上げると、茶色のズボンをはいた、細い足がぶら下がっていた。
どうやらトラップのようだ。
さっきパステルにベッドから引きずり出されて・・・そのまま追い出されたのか。
おれが真下にいるのに、珍しくトラップは気づかない。
寝ているのか?
いや、何かをぼんやりと見ている。
その視線を追ったおれは、かけようとしていた言葉を飲み込んだ。
「ぱぁーるぅ、みてみて!のりゅが、つくってくえたんだお!」
「あぁー、かわいいじゃない、ルーミィ!あら、シロちゃんまで。よかったわね~」
そうか、そこはパステルの部屋だ。
おれはそっと木を離れると、小鳥たちの元へ戻る。
「ぴぃぴぃ、ぴぴぴ・・・(今はちょっと、許してやってくれないか)」
「ちゅちゅん?・・・(なんでよ!)」
「ちゅぴぴ・・・(まぁまぁ、そうだ、キッチンにクッキーがあったから、持ってこよう)」
「ぴぴっ!?・・・(あら、クッキー?いいわね、ちょうだいよ)」
ゲンキンな鳥たちだ。
まるでルーミィだ。
おれは苦笑しながら、クッキーを取りにキッチンへ向かった。
開け放たれた窓から、またしてもパステルの声が響く。
「トラップーー!!あなたわたしのペン、持ってったでしょ!返しなさいよー、続き書けないじゃない!」
おそらくトラップは、木の上でこっそり笑ってるんだろう。
「どこ行ったのよ、トラップー!」
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プラグイン
60000Hit,Thanks!!
ただいまキリリク停止中
はじめに
プロフィール
HN:
まいむ
HP:
性別:
女性
自己紹介:
中学生の時にフォーチュンクエストにはまり、一時期手放していたものの、最近になって改めて全巻買い揃え・・・ついには二次創作まで始めてしまいました。まだ未熟ですが、自分の妄想を補完するためにも、がんがん書いていきたいと思ってます。
温かく見守ってくださる読者様募集中です。
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