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まいむのFQ二次創作

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カップリング・パーティー潜入ミッション(2)

シルバーリーブに、マリーナからの依頼が届く。
エベリンで流行っているカップリング・パーティーで、事件が起こっているとか・・・!
そこで、マリーナとパステル、クレイとトラップが潜入捜査をすることに。
果たして、事件の真相は!?
 





 ふわあ~、す、すごい!!
 ドーマにある、クレイのおうちも広くてゴージャスだったけど、ここもすごい!
 見上げるほどの門を、ボーイさんが開けてくれる。
 すると広がる、まるで公園のような庭。ところどころたいまつでライトアップされた白い彫像が浮かび上がる。お屋敷や離れへつながる道には、可愛らしいキャンドルが並べられて。
   2階建ての離れでも、大きな両開きの扉を、ボーイさんが開けてくれた。
   とたんに、賑やかな音楽、男女の笑いさざめく声がわたしを包む。
   はぁ~、なんて世界なの!
   思わずぽかんと口を開けて立ち尽くしてしまったわたしを、マリーナがつついた。
「ほら、アニエスったら。ここで受付するのよ」
   そう、アニエスって言うのはわたしの偽名。念のため、みんな別の名前を使うことにしたんだ。
「あ・・・ご、ごめん、マ・・・じゃなくって、シェルティン」
   受付のボーイさんがにっこり笑って羽根ペンを差し出してくれる。
   わたしは慌ててサインブックに名前を書いた。
 アニエス・リンク。かの英雄デュアン・サークと一緒に冒険をしたこともある、お姫様の名前だ。
 ちなみにマリーナはシェルティン・フレイラ。クレイとトラップは、キスキン王女を騙ってストロベリーハウスのスワンソンをだましたときと同じ、レイルズ・ドッチェとダル・カルクだ。
 男女一緒にカップリング・パーティに来るわけにはいかないからね、男ふたりは少し後で受付することになってる。
 で、頃合いを見計らって、クレイはマリーナ、トラップはわたしをエスコート(!?)することになってるんだ。
 でもほら・・・早くしないと!
   エントランスに入っただけなのに、もうマリーナは注目の的だ。
   カッコイイ男の子たちが、ちらちらと彼女を見ている。ううん、男性だけじゃない、女の子たちもマリーナが気になるみたい。
   確かに、わたしをうながしてホールに向かう彼女は、なんというか・・・オーラがあるんだよね。
   黒いミニドレスに包まれたキュートなおしりを、わたしは慌てて追いかけた。
 
 メインのパーティー会場となるホールは、ドレスアップした男女でごったがえしていた。みんな、楽しそうに声を掛け合ったり、おしゃべりしたりしている。
 ゴージャスなシャンデリアの下では、楽団の生演奏にあわせて、ダンスをしている人たちもいる。
 隅のほうには立食コーナーがあって、カナッペやサンドイッチみたいに軽くつまめるものが用意されていた。
 きれいな銀色のトレイを持ったボーイさんが、ドリンクを、人の間をすり抜けながら配って歩いて・・・やや、その一人がウインクしてきた!
 アンドラスだ!
 口ひげと、ぴしっとなでつけた髪がボーイの制服にベリーマッチ。
 こっちから挨拶するわけにもいかないからね、わたしとマリーナはちょっとだけ笑ってみせた。
  「ねえ、君たち、そんなところで突っ立ってないでさ。ぼくらと踊らない?」
 声を掛けられて振り返ると、なんと、ふたり組の男の子が、にっこり笑ってわたしたちにグラスを差し出していた。
 えええ?これ、わたしに?
 鮮やかな赤いドリンクの入ったグラスを、おっかなびっくり受け取る。
  「ステキな君に、本当なら、花をプレゼントしたいところなんだけど・・・代わりにこのカクテルをどうぞ、カワイコちゃん」
 うわぁぁぁ、な、なんてキザなの!
 ちょっと長めの髪をかき上げてわたしを見つめるその男の子。わたしは、見惚れるどころか、唖然としてしまった。
 見ると、マリーナのほうにグラスを差し出した男の子は、ひざまずいて彼女の手にキスをしている!
 これには、さすがのマリーナも困った顔。
 でもそれは一瞬で。
  「ごめんなさい。わたしたち、今来たばかりなのよ。もうちょっとゆっくりさせてくださらない?パートナー候補もじっくり選びたいの」
 艶やかな特上の微笑み。でも言ってることはけっこう辛辣だ!
 男の子たちは、苦笑いをして離れて行った。
  「すごい世界ね」
 わたしは、そっとマリーナにささやく。
  「まったくだわ。あ、パステル。それ、飲んじゃダメよ。何が入ってるかわからないんだから」
 うっかりカクテルを飲もうとしていたわたしは、マリーナのピシャリとした言葉に、慌てて口を離した。
 そうだった!忘れるところだった!
 雰囲気に流されてたけど、わたしたち、女の子の記憶喪失事件を調べるために、このパーティに潜入してたのよね。
  「ごめんごめん、わたしったら・・・あ、クレイだよ」
 通りかかったボーイさんにグラスをそのまま返すと、その向こうからクレイがやってくるのが見えた。
 うーん、いつも一緒にいるからあんまり気にしてないけど、やっぱりクレイはかっこいい。
 整った顔立ち、優しげな目元。背も高くて、さすがファイター、いい体格をしてるもの。髪も、切ったばかりだからキマってる。っていっても、わたしが切ってあげたんだけどさー、えへへ。
 マリーナが、落ち着かなさそうに目をそらす。
   そっかー、緊張してるんだろうな。好きな人にエスコートしてもらうわけだからね。
 クレイは、ぎこちなくあたりを見回すと、(たぶんあれは女の子を物色してるフリなんだろう)マリーナのほうへ歩み寄った。
  「え・・・と、あの、おれ・・・じゃなくて、ぼくと、少しお話しませんか?」
 そして、ちらっとわたしと目を合わせ、軽く肯いて遠くを見る。その視線が向く先を見ると、トラップがいた。
 あーあーあ、アッチコッチの女の子に声を掛けては振られ、チョロチョロしながら歩いてる。
 もー、あれは、どう見たって演技じゃないでしょ!
 クレイの下手な演技を見習えとは言わないけど、この真面目な姿勢は見習って欲しいよね。
 わたしは肩で大きく息をひとつつくと、クレイとマリーナに合図する。
  (大丈夫、ふたりは予定通り、2階を調べに行って)
 ふたりは、心配そうな目でわたしとトラップを交互に見ていたけど、やがて手を取り合ってそっと会場の隅に消えた。
 あーあ、とってもお似合い。美男美女カップルだ。
 それに引き換え、わたしのパートナーは・・・
 憂鬱な気持ちで見ると、すぐそこまで来ていたトラップ。
 いつもの顔でニヤリと笑うと。
  「おやおや、せくしぃなお嬢さん、裾から毛糸のパンツがはみだしてますよぉ~?」
 今日は穿いてないって!
 緊張感とか、ゼロなんだから。こいつは、も~!
 
  「さて、どうすっか」
  「どうすっか、じゃないわよ!クレイとマリーナはもう2階を調べに行ったから、わたしたちは1階の奥を調べるんでしょ」
  「ばか、声がでけぇよ。わかってるっつーの」
 トラップに手を取られ、ふたりで会場を歩く。
 手をつないでいるからか、わたしがハイヒールを履いているからか、いつもよりもトラップの顔が近い。
 トラップって、けっこう肌キレイなんだよねー。ニキビひとつない。
 こうやってちゃんとした格好してれば、そこそこカッコイイし。さっきの女の子には振られてたけど。
 あーあ、中身がこうじゃなかったらなぁ。わたしの好みにはほど遠いけど。
 う~ん、でも、わたしの好みって、どんな人だ???
 トラップは、わたしの視線には気づかずに、会場内に素早く目を走らせている。
  「するってえと・・・テラスの外からか、受付の後ろからだな」
 ボーイさんが厨房とホールとを行き来している入り口には、フロアマネージャーみたいなおじさんが立っててね、ホールに睨みをきかせている。とてもじゃないけど隙がなさそう。
 わたしも、会場を見渡してみた。
  「あ、ねぇ、トラップ。あそこに出入り口があるみたいだよ!」
 BGMの生演奏をしている楽団のちょうど後ろ。壁の色に似せたついたてが置かれていた。
 楽団の皆さんは指揮者のほうを見ているし、あそこからなら裏へ行けそうじゃない?
  「ん・・・お、おおおお!?」
 トラップが急に変な声を出して立ち止まった。ぐいっと手が引っ張られる。
  「もぉ、なによ!」
 しかしトラップは、わたしのほうをちらりとも見ない。
 何を見ているかというと・・・レクリエーションとして設置されていた、ルーレットテーブル!!
 他にもダーツとか、ちょっと遊べる設備があってね。数組の男女がルーレットを囲んで、楽しそうに笑い声を上げていた。
 まさかコイツ、この期に及んでギャンブルしようって気じゃあ・・・?
  「ト、トラップ、わたしたち、マリーナの依頼でここにいるのよ!?こんなとこで遊んでる場合じゃないってば!」
 わたしが一生懸命腕を引っ張っても、動かない。
  「うっせえ!」
 終いには手を振り払われてしまった。
  「ちょっとだけ、ちょっとだけ・・・へへへ」
 スキップのような足取りでルーレットへと向かうトラップを、あわてて追いかける。
 誰よ、ここにカジノなんか置いたの!
 思わずため息をつくわたしの横で、トラップは嬉々としてコインを賭けはじめた。
 
 それから、どれほどの時間が経っただろうか。
 運よく、というか、運悪く、というべきか・・・当たっちゃったのね。今日に限って。
 その状況でトラップがルーレットから離れられるわけがない。
 持ってるコイン分、さっさとスッちゃえばよかったのに!
 わたしはトラップから離れて、近くの壁に寄りかかった。
 マリーナたち、うまくやってるかなぁ。
 こんなことなら、やっぱりマリーナとトラップが組んだほうがよかったかも。
 マリーナなら、トラップのこと上手く操ってくれそうだし。
 あーあ。冒険者やってなかったら、わたしもこんなパーティーで、さっきみたいな男の子たちにナンパされてキャーキャー言ってたのかなぁ。
 そんなことをぼんやり考えてると、わたしの隣に男の子がひとりやってきた。
  「キミ、どうしたの?」
 またナンパ?ゆっくり目だけ上げると、そこで笑っていたのは、真っ黒な瞳に真っ黒な髪の、すらっとしたとてもきれいな男の子だった。
  「捨てられた子猫みたいな目してる」
 彼はわたしと同じように壁にもたれると、会場を眺めながら言った。
 ああ、気を遣ってくれたんだ。わたしが今、顔を見られたくないのを分かってくれたのかも。
  「ちょっと、連れが・・・」
 ルーレットにはまっちゃって、わたしのことほったらかしって?
 わたしは言葉を濁して苦笑した。
  「そっか、ひとりなんだ。ぼくも、そうなんだよ」
  「あなたも?」
 わたしがやっと顔をあげて彼を見ると、彼はにっこり笑って言った。
  「今だけでいいからさ。ちょっと、話し相手になってくれる?」
 
 彼の名前は、リューン。このパーティーには、ひとりで来たんだって。
 理由は、教えてくれなかったけど、彼の寂しそうな目を見ていると、なんとなく分かった気がした。
 とりとめのない話をしながら、わたしはトラップを、彼は会場をぼんやりと見ていた。
 とはいっても、彼といるのが苦痛だったとか、どうでもよかったとかじゃなく。
 会場の賑やかさとカーテン一枚へだてたような、静かな会話がとても心地よかった。
 きっと、彼もそうだったんだと思う。
  「なんだか、おなかすいちゃったね」
 ふいに会話が途切れたとき、リューンが、スッと身体を起こして言った。
  「ずいぶん話し込んじゃったし・・・ちょっと待ってて、何かとってくるよ」
 そして戻ってきた彼は、トレイの上にサンドイッチと、炭酸入りのカクテルを持っていた。
  「パステルもどうぞ」
 うわぁ、おいしそう!
 マリーナの家を出る前に、ちょっとビスケットをつまんだだけだから、確かにおなかはすいてる。
   サンドイッチには沢山具がはさんであって、とても美味しそうだ。
   差し出されたカクテルも、花のようないい匂いがした。
  (飲んじゃダメよ。何が入ってるか分からないんだから・・・)
 わたしは、マリーナの言ったことを忘れていた。
 いや、忘れていたのか、気づかないふりをしていたのか・・・
  ちょっとね、ヤケッパチな気分になってたのかもしれない。
 カクテルを飲み干したわたしの視界の片隅で、トラップがコインをかき集めて歓声をあげているのが見えた。
 
 あれ・・・なんだか、フワフワする。
 リューン、ちょっとわたし、酔っ払っちゃったみたい。
 そこに、わたしの仲間がいるんだけど、呼んでくれない?
 トラップ、トラップったら・・・
 
 わたしは、悲しそうな顔をしたリューンに抱きかかえられて、意識を失った。
 
   わたしが意識を失ってる間、何があったのか・・・
 そうだね、ここからは、トラップに書いてもらうことにしよっか。
  「ねえ、トラップ!こないだの、エベリンでの話を小説に書いてるんだけど、わたしが気を失ってる間のところ、書いてくれない?」
  「ああ?なんでおれがそんなことしなきゃなんねーんだよ!」
  「何言ってんのよ!今あなた、そんなこと言える立場じゃないでしょ!」
  「うぐ・・・くっそー、書きゃーいいんだろ!書きゃあ!」


 
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はじめに

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プロフィール

HN:
まいむ
性別:
女性
自己紹介:
中学生の時にフォーチュンクエストにはまり、一時期手放していたものの、最近になって改めて全巻買い揃え・・・ついには二次創作まで始めてしまいました。まだ未熟ですが、自分の妄想を補完するためにも、がんがん書いていきたいと思ってます。
温かく見守ってくださる読者様募集中です。

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