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まいむのFQ二次創作

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トラップの初恋

エベリンのメインクーン亭で、食事をするマリーナと、パステルたちパーティ一行。
ケンカを始めたトラップとパステルを見て、マリーナは子どもの頃のことを思い出す・・・

※マリーナ視点です。





 「ああーっ、トラップ、それ、わたしの唐揚げ!」
 「もごもごもご・・・」
 「ひどーい、最後に食べようと思って、大事にとっといたのに!」
 大きな唐揚げをほおばってもぐもぐしているトラップを、頭から湯気を出して怒るパステルが揺さぶっている。
 「まぁまぁ、パステル。わたしの唐揚げあげるから」
 わたしは、自分のお皿に残っていた唐揚げを、パステルのお皿に移動させた。
 「やだー、マリーナったら、そんなつもりじゃないってば!トラップ、あなたが悪いのよ!もう!」
 パステルはトラップを叩きながら、あわててわたしに手を振った。
 
 エベリンで一番活気のある大衆食堂、メインクーン亭は、夜の喧騒に包まれていた。
 例に漏れず、おつかいクエストに出かけていたパステルたち。その途中で、ノルの冒険者カードにバグが見つかったらしくて、シルバーリーブに帰りがてら、エベリンの冒険者支援グループに立ち寄ったんだって。
 で、わたしのところにも、顔を出してくれたってわけ。
 エベリンで古着屋をやっているわたし。パステルたちは、古着が必要なとき以外にも、こうしてよく寄ってくれる。
 わたしも、パステルたちが遊びに来てくれることを、とても楽しみにしてるのよね。
 こうやって、大人数で食事をしていると、ドーマのブーツ一家にいた頃を思い出す。
 もらわれっ子のわたしにも、みんなわけへだてなく接してくれて・・・そう、ごはんやおやつの取り合いもよくしたっけ。
 
 「なんだよー、唐揚げ1個くれえで、ゴチャゴチャいうなよー、ちっせえ女だな」
 「ちっせえ女って・・・こないだ、ドーナツ食べられたって、本気で怒ってルーミィ泣かせて、クレイに怒られたのは、どこのどなたでしたっけ?」
 「だぁら、あんときはだなー!」
 あらやだ、パステルとトラップが、唐揚げの取り合いからケンカ始めちゃった。
 でも、パーティのメンバーはまったく見向きもしない。
 クレイは、おイモのサラダをほおばるルーミィの口元を拭いてあげてるし、シロちゃんはルーミィがテーブルにこぼしたおイモを拾って食べている。
 キットンは、唐揚げに添えられていた香草をつまみあげて、興味深そうに眺め回しているし。
 ノルは、いかにも微笑ましそうにニコニコとふたりを見守っている。
 ん~、まぁ、いつものことなんだろうね。
 わたしは、目が合ったノルに肩をすくめてみせ、食事を再開した。
 「おれはいいの!育ち盛りなんだから、これぐらい食わねえともたねえっつーの」
 「なによ、その屁理屈!乗合馬車で寝てただけのくせに!」
 「おめえだって同じだろーが」
 「わたしは・・・、あ、そういえば!お昼のおにぎりだって、わたしの最後の1個、トラップが食べちゃったんじゃない!」
 「ケチくせえなー、んなことばっか言ってると、ブタになるぜぇ?」
 相変わらず、パステルとトラップの口ゲンカは続いている。
 この時間のメインクーン亭だからね、どんなに騒いだって迷惑にはならないんだけど。
 いやー、よくやるわねぇ。
 ケンカするほど仲がいいとはよく言ったものだわ。
 うーん、ケンカって言うよりもトラップがパステルをからかってる、というべきかしら?
 ふたりのケンカをおつまみ代わりに、ビールを一口飲んだわたしは、ふと昔のことを思い出した。
 あれは、わたしも、クレイやトラップもまだまだ子どもで、ドーマで転げまわっていた頃だった。
 
 わたしは、12歳のときにドーマを出て、それからアンドラスの元でお世話になってるんだけど。
 まだドーマにいて、学校に行っていたころ・・・わたしが10歳とか、それくらいの話。
 クレイとトラップと、3人でしょっちゅう一緒につるんでいた。
 みんなそれぞれ立場が違って・・・しかもそれが特殊な環境だったから、学校の、他のクラスメイトとはあまり合わなかったのね。
 
 まず、トラップは盗賊団の跡取り息子でしょ。泥棒じゃなくて、冒険者としての盗賊なんだといっても、やっぱり普通のおうちの人には、あまり納得が行かないみたいで。
 表向きはにこやかでも、子どもに、「ブーツさんところの子と遊んじゃいけません!」とか言っちゃうわけ。
 学校では楽しく遊んでいても、大人の姿が見えたとたんに離れていくクラスメイトたちを見るのは、とても悲しかった。
 そして、代々騎士の一家のクレイ。しかも子どものころからかっこよかったもんだから、男の子も女の子も、遠巻きにしてる感じだった。本人はまったく気にしてなくて、誰にでも気さくに接してたんだけどね。
 トラップとは幼馴染だから、いつも一緒にいるわけだし・・・やっぱり、ちょっと浮いていた。
 最後に、ブーツ一家にもらわれてきたわたし・・・当然、まわりの目は冷たかった。もちろん、母さんや父さん、盗賊団のみんなはよくしてくれたんだけど、どうしても周りの視線はよくはなかった。
 そのわたしを力づけてくれたのが、盗賊団の兄さん、姉さんたち。うまく世間を渡っていく方法を、いろいろと教えてくれたのね。
 そのおかげで、うまく周りに合わせて、自分を馴染ませていくことが、意識してできるようになった。そう、表情を読んで、ときには相手の思うような役を演じたりして。子どもらしくなかったと思うけど、それが今、詐欺師としてやっていくのにも役に立っている。
 
 「マリーナ、おはよう!」
 「おはよう!ねえねえ、宿題やった?わたし、1個どうしてもわかんないとこあったんだよー」
 教室の朝はとても賑やか。その日は、前の日に先生から出された宿題の話題で持ちきりだった。
 これもポイントなのよねー。全部わかっても、少しだけわからないふりをすること。
 できすぎると、クラスメイトから嫉まれる。
 わたしは、みんなと宿題を見せ合う。
 「はいはい、皆さん、席についてちょうだい!今日は、新しいお友達を紹介します」
 パンパン、と手を叩いて、担任のシルビア先生が教室に入ってきた。
 クラスメイトの目が、先生の後ろについて入ってきた女の子に集中する。
 明るい金髪を二つのお下げにした、可愛い子だった。
 視線を一身に浴びても、まったく緊張していない。余裕の顔でぺこりと頭を下げる。
 「はじめまして、わたし、アリスといいます。父の仕事の都合で、しばらくこの学校で勉強することになりました。よろしくお願いします」
 挨拶も、大人顔負けで。わたしたちは、ぽかんとして彼女の顔を見ていた。
 「はい、アリスさんのお父さんは、アンダーソンさんのおうちで、夏の間だけ家庭教師をするそうです。その間、アリスさんもドーマに滞在することになりました。みなさん、仲良くするんですよ!」
 「はーい」
 イイコの返事をするものの、クラスメイトたちは複雑そうだった。彼女は、女の子たちが密かに憧れてるクレイのおうちの関係者なわけで。こそこそとナイショ話をする気配がする。男の子たちは、アリスの大人びた雰囲気に、たじたじだった。
 
 クラスメイトに囲まれて、根掘り葉掘り質問された彼女の話によると、クレイのお屋敷の、離れを借りているらしい。
 お母さんを子どもの頃に亡くして、騎士になるための指導をアチコチでしているお父さんと、各地を転々としていて。今、ちょうど、クレイのお兄さんふたりが騎士叙勲を受けようとしているところだから、と招かれたようだ。
 放課後、わたしは一人でさっさと帰ろうとする、アリスの背中を追いかけた。今日はクレイとトラップと遊ぶ約束をしていたから、誘ってあげようと思ったの。
 「アリスー!待って待って、一緒に帰ろうよ!わたしも、こっちなの」
 走って追いついたわたしを振り返った彼女は、隙のない顔でにっこりと笑った。
 「ありがとう、マリーナ。でもわたし、誰とも仲良くするつもり、ないの」
 わたしは彼女の言葉に、キョトンとして足を止めた。
 このこは、いま、なんていったの?
 呆然とするわたしを置いて、そのまま歩いていくアリス。わたしは慌てて追いかけた。
 「どうして?だって、そんなこと言ったら、友達できないじゃない。学校だって楽しくないよ?」
 「だって、ここにいるのは夏の間だけだもん。その後は、また父さんと別の町に行くんだし、友達ができたってどうせすぐバイバイなんだから」
 アリスは、キッと前を見据えて、歩きながらわたしに言った。
 「だから、いいの。でもマリーナ、気持ちはうれしいわ」
 ああ・・・
 わたしは、心の中でため息をついた。
 この子も、わたしと同じで、戦ってるんだ。
 自分の境遇を受け入れて、それで自分が傷つかないように、守るために戦ってる。
 わたしのほうをあえて見ようとしない、彼女の横顔は寂しそうだった。
 
 結局、アリスは誰とも友達になろうとしなかった。
 他の町でなら、それで何事もなく過ぎていったんだと思う。
 ただ、ドーマでは・・・アンダーソンさんちのクレイは、やっぱり羨望の的だったのね。
 一見、お高くとまってるような態度と、可愛さも相まって。
 彼女は、いじめられるようになってしまった。
 
 お弁当を食べていると、わざと机にぶつかられて、ひっくり返される。
 かけっこのときには、足を引っかけられる。
 教科書がなくなったり、落書きをされたりする。
 
 それでもくちびるを噛みしめて、アリスはぐっとこらえていた。
 わたしはというと・・・せっかくがんばってクラスに馴染んだのがフイになるのを恐れて、何もできなかったの。
 アリスを助けてあげることもできずに、ただ一歩下がって見ているだけだった。
 
 状況が変わったのは、ある日の工作の時間だった。
 わたしたちは、木切れを小さく削って、ペンキで色を塗って、動物の置物を作っていたのね。
 なんとなく、嫌な予感がしてたんだけど・・・アリスは、ペンキをかけられてしまった。
 金髪も、洋服も、全部ピンク色。
 「まぁまぁまぁ、大変!アリスさん、大丈夫?」
 さすがに限界だったんだろう、顔を真っ青にして駆け寄る先生の手を振り払って、アリスは教室を飛び出して行った。
 「アリス!」
 わたしが立ち上がって、ペンキを引っかけた男の子たちをにらみつけると、彼らは気まずそうに顔を見合わせる。
 ええい、もうどうにでもなれ!
 わたしはアリスの後を追いかけた。
 
 ぽたぽたぽた、と廊下に染みを作っているペンキの後を辿って走る。
 このまま行くと、裏庭の水飲み場かな?
 「おいおい、なんだぁ。おめえ。なんでペンキかぶってんだぁ?」
 わたしの行く先から、トラップの声がした。
 なんとなく、急ブレーキをかけるわたし。
 「な、なんでもないです!」
 泣きながら走ったんだろう、ぐじゃぐじゃになったアリスの声。
 「なんでもねーっつったってよぉ、おいらが気持ちよーくサボって昼寝してるところに、そんな格好で来られちゃ、そのまんまにしとくわけにもいかねーだろ?ほら、こっちこいって」
 木の陰からそっと覗くと、トラップがピンクに染まったアリスを水飲み場に引っ張っていくところだった。
 されるがままに水をかけられるアリス。
 「あれ、おめえ、こないだクレイんとこにきた・・・いじめられてんのかぁ?」
 「ひっく・・・そ、そんなこと、ないです!」
 「泣いてんのかぁ?」
 「な、泣いてなんか、いません!」
 頬をぬぐって顔を上げたアリスを見て、トラップが水をかけるのをやめた。
 ん??
 あの、トラップの顔!!
 わたしはピン、ときた。
 あー、アリス可愛いからなー、トラップったら、一目ぼれってやつ?
 そう、人の顔色をうかがうのが得意だったわたしは、見抜いちゃったのよね、このとき。
 「アリス!トラップ!」
 木の陰から出て行って、ふたりに声をかけると、トラップが慌てた様子でわたしに言った。
 「んだよぉ、マリーナじゃねーか!こいつ、おめえの友達?」
 それを聞いて、ぱっとうつむくアリス。前髪から、まだ薄いピンクの水滴がぽたぽたと滴っている。
 わたしは、声を張り上げて、ハッキリと言った。
 「そうよ、彼女はわたしの友達、アリスっていうのよ」
 「マ、マリーナ!」
 驚くアリスに、わたしはウインクをして見せた。
 「さ、一緒に戻ろう。その前に、どこかでタオル借りなくちゃね」
 
 そのことがあってから、アリスはわたしに心を開くようになった。
 仲良くなった友達とすぐに別れてしまうのが、いつもいつもとても辛かったこと。
 お父さんに迷惑をかけたくないから、ひとりでいるのも平気な顔をしていたこと。
 彼女はいろんな話をしたし、わたしもいろいろな話をした。
 そう!わたし、この頃から、クレイのことが気になってたのよね。
 そんな話もして、アリスに応援されちゃったりして。
 そして、彼女の笑顔が自然と出るようになった頃には、クラスにも馴染んでいた。
 
 「おーい、マリーナ、アリス。母さんが、クッキー焼いたからおいでって」
 アリスの住んでいる離れに、クレイが呼びに来た。ちゃんとノックして、部屋には入らないようにしてドアのところから覗いている。
 アリスがにやにやしてわたしを突っつく。わたしは憮然としてアリスを突っつき返しながら、クレイについて行った。
 お菓子作りの得意なクレイのお母さん。ダイニングにはいいにおいが充満していて、すでにトラップがクッキーをほおばっていた。
 「トラップ!ふたりが来るまで待ってろって、言ったじゃないか!」
 イスに座りながら、クレイがトラップの頭をこづく。
 「こないだのペンキ女じゃん。今日は白ペンキかぁ?」
 トラップのからかいに、グッとつまるアリス。白のレースのワンピースを着ていた彼女は、さっとわたしの陰に隠れてしまった。
 泣き顔を見られたのが恥ずかしいって言って、これまでトラップのことを避けてたのよね。
 「トラップのバカ!変なこと言わないの!さ、アリス、食べようよ。クレイのお母さんのクッキーは、とってもおいしいのよ」
 「そうよ、やーねぇ、トラップったら。アリスちゃんがあんまり可愛いから、いじめたくなっちゃうんでしょ」
 お茶の入ったカップをお盆に載せて、クレイのお母さんが笑いながらやってきた。
 「違うって!こんなブス、知らねーっての!」
 ますます小さくなるアリス。
 わたしは、赤くなった顔を隠すようにそっぽを向いたトラップを見て、感心した。
 そうかー、トラップは、好きな子をいじめちゃうタイプなのね。
 はー、そっかー、ひねくれてるなぁ、トラップ。
 男の子って、そういうとこ、まだまだガキよねぇ。
 「ほら、クレイ、お茶を配ってちょうだい」
 クレイがお母さんからお盆を受け取って、テーブルの上に並べていく。砂糖壺と、ミルクポットも真ん中に置いた。
 そのとき、急にトラップが立ち上がって、窓の外を指差した。
 「あっ!!!」
 思わずその先を見るわたしたち。でも、何もなかった。
 「なによぉ、トラップ。なーんにもないじゃない」
 わたしが文句を言うと、トラップはニヤニヤしながら口を尖らせる。
 「いんや、一瞬、すげぇ変わったチョウチョが見えたんだよ。真っ赤なヤツ」
 「うっそだぁー」
 わたしとトラップがヤイヤイ言っていると、隣に座っていたアリスが急にむせた。
 「げほっ、ごほごほ・・・」
 「どうしたんだ?」
 ビックリするわたしたちに、アリスは震える手でお茶のカップを差し出した。
 クレイが、そのお茶を口に含んで、同じようにむせる。
 「うげー、あ、甘っ!」
 「あ、トラップ!あんたがアリスのお茶にイタズラしたの!?」
 「しーらねーっ!」
 クッキーをガサッと一掴み取って、ぴゅーっとばかりに逃げ出していくトラップ。
 「あーあ、あのバカ。アリス、気にすんなよ。あいつはいつもああなんだ。母さーん、お茶もう一杯くれるー?」
 「そうよ、アリス。あんなヤツほっときましょ」
 事情がわかってしまったわたしと、全く分かっていないクレイ。
 しょぼんとするアリスを、ふたりして一生懸命盛り上げたのだった。
 
 もちろん、それからもトラップのちょっかいは続いた。
 アリスのお下げを引っ張ったり、スカートめくってみたり、トイレに閉じ込めたり。
「トラップー、いいかげんにしろよ」
 トラップのお守り役状態のクレイも、ほとほと呆れるくらい。
 ヤツが何かするたびに、クレイとわたしでとりなして。アリスも、悪ガキのイタズラだよね、なんてコッソリ笑いながら、何度も何度も4人で遊んだ。
 
 そして、夏が終わり。
 アリスがお父さんに連れられて、他の町へ行く日がやってきた。
 「アリスー、また遊びに来てね」
 「手紙書けよなー」
 すっかり仲良くなったクラスメイトに囲まれて、泣き笑いのアリス。
 わたしも、ずっとアリスのそばを離れずに、抱き合ったり、ふざけて叩き合ったりしていた。
 そこにやってきたクレイとトラップ。
 ふたりは、大きな花束を抱えている。
 「さっき、裏山に行って摘んできたんだ。アリス、元気でな。また遊びにくるんだぞ」
 クレイがちょっとはにかんで、花束を差し出す。
 「くるときは、みやげ買ってこいよなー」
 頭の後ろで手を組んで、ふんぞり返ったトラップも言う。
 あらあら、このまま何も言わずに送り出しちゃうのね。そのほうがトラップらしいけど。
 「・・・ありがとう、クレイ、トラップも・・・ ・・・ ・・・!!!!!!!!!」
 恥ずかしそうに花束を受け取ったアリスが、次の瞬間、声にならない悲鳴を上げて、それを放り出した!
 げらげらと笑うトラップ。あわててアリスを支えるわたし。クレイは、花束を拾い上げた。
 「ぎゃー!!トラップ、おまえ、いつのまに!!」
 ぎゃー!!うそ、トラップ、本気なの!?
 覗きこんだわたしも思わず叫んだ。
 だって、可愛らしい野の花にまぎれる・・・虫、虫、虫!
 バッタからイモムシ、ムカデまで入ってるよ!
 「トラップ!あんた・・・」
 いっくらかまってほしいからって、これはやりすぎよ!
 怒鳴りかけたわたしの声を、さえぎったのは。
 「もう、トラップなんて、トラップなんて・・・ダイッキライ!!」
 これまでトラップのイタズラになにも言わなかった、アリスの半泣きの絶叫だった。
 
 「おいマリーナ!なぁに笑ってんだよ!」
 「ええ?あ、ごめん。わたし、笑ってた?」
 ふふふ、憮然としてわたしを覗き込むトラップの顔。
 コイツ成長しないなー。こないだも言い過ぎて、パステル落ち込ませてたっけ。
 「まいーな、なにがおもしろいんだぁ?」
 「思い出し笑いですか?」
 いつの間にか、ルーミィやキットンまでわたしを見ていた。
 「うふふ、ナイショ」
 わたしは唇に指を当て、ニッコリと笑った。こんなこと言っちゃったら、トラップがかわいそうだもんね。
 不思議そうな顔でわたしを見るパステル。
 あなたのニブさはアリスと変わらないけど、ちゃーんとトラップに応じてあげちゃうところが、また魅力なのかしら。ふふ、ちょっかい出しちゃうトラップもおばかさんだけど、気づかないパステルも負けてないわよ。
 
ま、しばらくはこのまま楽しめそう、かな?
え、わたし?クレイのことはいいのかって?
やーだもう、わたしのことはいいの!!ほっといてちょうだい!
 
     
 
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プロフィール

HN:
まいむ
性別:
女性
自己紹介:
中学生の時にフォーチュンクエストにはまり、一時期手放していたものの、最近になって改めて全巻買い揃え・・・ついには二次創作まで始めてしまいました。まだ未熟ですが、自分の妄想を補完するためにも、がんがん書いていきたいと思ってます。
温かく見守ってくださる読者様募集中です。

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