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まいむのFQ二次創作

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おつかいクエスト~魔法の貝殻を探せ!~(2)

パステルたちのもとにやってきたシナリオ屋のオーシ。
オーシの持ってきた話は、冒険者向けのアイテム開発をしているリングワンダ社からの依頼だった!
魔法の貝殻を探すため、パステルたちはシェルガーデン島へ向かう!

※(1)はこちら






  次の日も航海は無事に済んで。
暇つぶしにクーちゃんの取扱説明書を読んでビックリ。クーちゃんには、音波を利用した特殊機能がついてるんだって。なんと、低レベルのモンスターが寄ってこないようにされてるらしいのだ。
しかも、航行しながら海の中の微生物を食べてるから、燃料がほとんどいらない。
すごいよねー!!
わたしたちは、昼間に釣りをして夜ごはんにしたり、イヤっていうほど昼寝したり・・・普段ゼッタイできないことを思う存分してノンビリと過ごした。
さすがにそろそろ飽きてきたかな、という3日目。
ついに、シェルガーデン島のある、四葉の島に到着した!
 
「んで、どうすんだ?クンのとこには寄ってくのか?」
「いや、今回はクーを借りてるってこともあるしな。とりあえず、頼まれた貝を探そう」
クレイとトラップが、クーちゃんをロープで岩場につないでいる。砂浜だと、体の大きいクーちゃんは身動きが取れなくなっちゃうからね。深いところじゃないとだめなんだ。
ノルとキットンは、パーティの荷物を降ろしてくれて。
わたしはルーミィとシロちゃんと一緒に、足元の地面を踏みしめた。久々の大地を、軽くジャンプして確かめる。
「なんだか懐かしいわねー」
「なつかしいおう!」
「なつかしいデシ!」
ルーミィとシロちゃんが走り回りながら叫ぶ。ふたりとも、3日もクーちゃんの背中だったからね、窮屈な思いもしただろう。
「ほら、パステル!これからどうするか考えるぞ!」
クレイに呼ばれてみんなのところに戻ると、キットンのモンスターポケットミニ図鑑に頭を寄せて覗き込んでいた。
「ええと・・・シェルルン、シェルルン・・・おかしいなぁ、載ってないですね」
「海のモンスターのページにも?」
「はい、ありませんね。ほんとにいるんですかね?魔力を持った貝なんて」
「あのじーさんは、一抱えくらいある大きさの貝だって言ってたな」
「貝ったって・・・巻貝なの?それとも二枚貝?」
「うーん・・・」
結局、みんなで唸るしかなくて。
今更言ってもしょうがないけど、もっとしっかり話を聞いてくるべきだったわ。
なんてアバウトなの!
「ちぇ、だーからあんだけぽっちの報酬で、こんなクエスト受けなきゃよかったんだよ!」
トラップが肩をすくめて、お手上げのポーズを取った。
「まぁ、はるばるここまで来たんだ。とりあえず島の探索をしてみよう」
クレイの提案で、わたしたちは四葉の島を探索してみることにした。
 
南の島は、以前のクエストで見てるからね。そのときには一抱えもある貝なんて見かけなかったし、今回は他の島を探してみることになった。
一応、マッピングをしながら歩く。
今わたしたちがいるのは、西の島だ。南の島と比べて、背の高い木が多くて・・・ちょっとしたジャングルのよう。
途中、湧き水の出ている泉を見つけて、マップに書き込んだけれど、それ以外は何も変わったことはない。
生き物も、時々鳥の鳴く声がするくらいで、モンスターに出遭うこともなかった。
あたりをキョロキョロともの珍しそうに見ながら歩いていたルーミィが、わたしの手を引っ張った。
「ぱーるぅ、ルーミィ、おなかぺっこぺこだおう」
「そうね、わたしもおなかすいたな。ねぇクレイ、さっきの泉のところまで戻って、ちょっと休憩しない?」
わたしが前を行くクレイの背中に声をかけると、彼は首を横にふった。
「いや、こんな見通しの悪いところに留まりたくはないな。もう少し行けば、海岸にでられるだろう。そこまで我慢だ」
確かにそうかも。一回りするのに数時間で歩けるような小さな島だから、もうそろそろ最初にクーちゃんを停めた岩場につくはずだ。
「じゃ、ルーミィ、もうちょっと我慢してね。チョコレートあげるから」
「わぁーい、ちょこれーと、ちょこれーと」
わたしが、リュックの中をごそごそと漁って、チョコを探しているときだった。
「おい、なんか様子が変だぞ!」
トラップの叫び声。
顔を上げると、どこからともなく薄ピンクのもやが立ち込めて、たちまち何も見えなくなってしまった。
すぐ横にいたはずのルーミィさえ見えない。
「や、やだ!みんな!どこにいるの?」
「パステル、むやみに動くな!」
あせってわたしが叫ぶと、クレイの叱責がかすかに聞こえた。
う、うそー。
自分の指先もおぼろげにしか見えないもやの中。クレイの声を最後に、誰の声も届かない。
何か、モンスター?それとも、罠?まさか、こんな島でなにか罠が仕掛けられてるなんてこと、あるの?
わたしがぐるぐると考えていると、小さな鈴が鳴った。
チリン、チリン・・・
聞き覚えのある音にハッとして見ると、なんてこったー!
もやの中を、わたしの財布がぴょこぴょこと跳ねて逃げていく!
チリン、チリン・・・
落としても分かるようにって、小さな鈴をつけておいたんだよね。
「だ、だめよ!待って!」
動いちゃダメだと言われたけど、これが動かずにいられますか!
大して中身はないけど、それでもパーティの全財産なんだからー!
わたしが必死に追いかけても、届きそうで届かない。
よーし、こうなったら!
スライディングしようと決意を固めたわたしの背中を、シロちゃんの叫び声が撃った。
「危険が危ないデシ!」
ええええ??
わたしは急ブレーキで立ち止まる。
「みなしゃん、目を閉じてくださいデシ!まぶしいの、吹くデシ!」
シロちゃんの言うままに、目を堅く閉じる。まぶたから透ける激しい光が収まってから目を開くと・・・あたり一面のもやは、跡形もなく消えていた。
ひとところに固まって歩いていたはずの、クレイやトラップ、ノルやキットン、ルーミィ、シロちゃんがてんでバラバラのところに立っているのが見える。
「うげげげげ、なんだ、この穴!」
トラップが後ずさっているその足元には、大きな穴が開いていた。
うわ、ここもだ!
わたしも、自分の足元を見て、思わず一歩下がる。
ぎゃー、なにこいつ!
地面には大きな落とし穴のような縦穴が掘られていて・・・その底で、一抱えほどもある貝がぱっくりと口を開けて、ピンク色の触手をうごめかせていた!!
「ああああ、わかりました!これですよ、シェルルンというのは!」
キットンが、モンスターポケットミニ図鑑を物凄いスピードでめくって、叫んだ。
穴に落ちないように注意しながら集まったわたしたち。図鑑を覗き込んで、思わず息を飲んだ。
そこに描かれていたのは、まさしく、穴の中でわたしたちを待ち構えていた貝。
「なになに・・・ウタカタハマグリ!?」
「そうです、この項目の最後に、『マジックアイテムなどの素材として珍重されており、ハンターたちのあいだでは、シェルルンなどと呼ばれているようだが、まだ発見されて間もないモンスターのため、定着していない』って書いてあるでしょ」
「げー、なんだよそれ!」
「『幻を見せておびきよせ、穴に落ちてきたところを捕食する』ってことは、わたしたち食べられるところだったの!?」
わたしの横で、図鑑の記述を目で追っていたクレイが、ハッとしたように顔をあげると、無言ですーっと離れた。
??どうしたんだろ。
「おやおや、面白いことが書いてありますねぇ。『見た者にとって、好きなものや大事なものの幻を見せておびき寄せる』らしいですよ」
それを聞いて、トラップも微妙な表情ですーっと離れていった。
いやいやいや、ちょっと待って!わたしが見たのって、お、お、お、お財布なんですけどー!!!
好きなものって、好きなものって、やだ―――!!!
「ちなみにわたしはスグリでした。でへへへ、みなさんは何が見えたんですか?」
嬉しそうに身をくねらせるキットンの頭をどついたのは、クレイだ。
「ばかなこと言ってないで、とっととヤツらを捕まえるぞ!」
 
なんでも、モンスターポケットミニ図鑑によると、ハマグリという割には、水に弱いらしい。しかも、真水ね。
「ノル、さっきの泉で汲んだ水があったろ。あれ、出してくれないか」
クレイが、ノルから水筒を受け取ると、穴のそこで無防備に口を開いているウタカタハマグリにかけた。
ジュワ―――ッ!!!
焦げ臭いような臭いがあたりに充満して、みるみるうちにウタカタハマグリの身の部分が溶けていく。
うわ、ナメクジみたい。ほら、ナメクジって、塩かけると縮んでいくでしょ。ちょうど、あんな感じだった。
やがて、身がすべて溶けてなくなると、穴の底には貝殻だけが残った。
「よっしゃ、いっちょあがりだな」
トラップがひょいと穴の中に飛び降りて、一抱えもある貝殻を持ち上げる。
「きれいだな」
それを受け取ったノルが、ぽつりとつぶやいた。
そう、貝殻は、醜悪なウタカタハマグリの中身とは違って、きらきらと七色に輝いていた。
これで、スーパーバンホウができるんだ!
 
同じように、他の穴からもウタカタハマグリを手に入れたわたしたち。
クーちゃんに乗って、意気揚々とエベリンに戻った。
・・・まぁ、途中で思わぬ寄り道をするハメになったんだけど。それはまた別の機会にお話しするとして。
「いやいやいや、待っておったぞ!」
リングワンダの社長が、目をらんらんと光らせてわたしたちを出迎えた。
「これです、社長がシェルルンとおっしゃっていた、ウタカタハマグリの貝殻です」
クレイが差し出した貝殻を、ひったくるようにして受け取った社長。
「いやいやいや、これはこれは。今すぐ、試作品を作るから、その辺の部屋で待っておるといい。完成したら、あんたがたに一番に使わせてやろう!」
 
「ねえねえ、スーパーバンホウが完成したら、何を探す?」
社長の秘書の女の人が淹れてくれたお茶を飲みながら、わたしたちは応接室で時間をつぶしていた。
何でも探索してくれるっていう、スーパーバンホウ。
それを使わせてくれるって言うなら、今のうちに考えておきたいじゃない?
「そんなもん、お宝の在りかに決まってんだろ!」
これはもちろんトラップ。
「いや、それじゃ漠然としすぎてないか?」
クレイが首をひねりつつ言う。
「ルーミィの、お母さん探すのが、いいと思う」
ぼそっと言ったノルの言葉に、みんなが反応した。
「ルーミィのママね!」
「そうですね、それがいいですよ!」
「見つかったらもうけもんだよな!」
わたしたちが盛り上がっていると、お菓子に夢中になっていたルーミィがきょとんとした。
「なんら、なんらぁ?ルーミィのことかぁ?」
「う、ううん、なんでもないのよ!・・・えっと、そうだ!それよりもルーミィ。ルーミィはあのピンクのもやが出たとき、何が見えたの?」
わたしはあわてて話題を変えた。
だって、こんな小さなルーミィに変に期待をもたせて、それでうまく行かなかったり、悪い結果が出たりしたら・・・かえってかわいそうじゃない?
「あのときかぁ?ルーミィ、チョコレートがいーっぱいみえたおう!」
「ああ、そっかそっか」
ちょうどあのとき、おなかのすいたルーミィにチョコレートをあげようとしてたんだよね。
「おれには、みんなが呼んでるのが見えた」
いつもパーティのことを見守ってくれるノルらしいよね。
それに引き換え、わたしは・・・で、でも!わたしがお財布の心配ばかりしてるのは、つまりはパーティのためなんだから!そうよね!
「クレイは?クレイは何が見えたの?」
わたしが聞くと、クレイはものすごーくイヤそうな顔をした。
そういえば、モンスターポケットミニ図鑑を見たときも、様子がおかしかったし。いったい何を見たんだろ?
「気になる気になる!教えてよ」
「わたしも気になりますねぇ。その様子だと、我々とか、ドーマの家族とかってわけではないんですね?」
わたしとキットンが催促すると、クレイはイヤイヤながらもぼそっと口を開いた。
「・・・ですぴあす」
ブハッ!!
思わずわたしはふき出した。
「そ、それって、あの逆クエストのときの!?」
「そーかそーか、クレイちゃん、デスピアスさまにメロメロだったもんなぁー!」
「いやはや、それは面白い現象ですよ!ああやって、操られていたときの偽りの好意も、幻に反映されるんですね!」
口々に囃し立てるトラップやキットンだけではなく、ノルまでも面白そうにニコニコしている。
「う、うるさい!トラップはなんだったんだよ!どうせ金だろ?」
クレイが、笑い転げているトラップをどついた。
うっ・・・実はわたしもそうなんですけど。そんなことは言えるわけがない。
「そうよそうよ、トラップは何を見たの?」
トラップは、一瞬わたしの目をじっと見ると、ぷいっとそっぽを向いた。
「んなもん、知るか!」
「知るかって・・・あなただって見たんでしょ?シロちゃんがいなかったら、みんなで穴に落っこちるところだったじゃない」
 「・・・じゃあ、そういうおめえは何を見たんだよ」
 「え、わ、わ、わたし?トラップが言わないんだったら、言わない!」
 だって、トラップが言わなかったら、わたしだけ笑われちゃうじゃない。お財布が逃げてくところを見ただなんて。
 「じゃあ教えねえ!」
 「えー!!いいじゃない、教えなさいよ」
 わたしたちの押し問答が、堂々巡りに入りかけたそのとき。
 ドカァァァ―――ン!!!
 物凄い爆発音と共に、リングワンダ社の応接室が激しく揺れた!
 「なっ、なにがあったの?」
 「なんか爆発したぞ!」
 「上だ、たぶん、あのじーさんだ!」
 クッキーをほおばったまま床に転がっていたルーミィを抱き上げて、最上階の社長の部屋へ飛び込んだわたしたち。
 その部屋の様子を見て、あぜんとして立ちつくした。
 ガラクタだらけだった部屋は、見るも無残に焼け焦げていて。真ん中にぽつんと座り込んだ社長は、両サイドの白髪が、まるでパーマをかけたようにチリチリになっている。その髪も、顔も白衣も、全身ススで真っ黒だ。
 「ど、どうしたんです、一体」
 クレイが手を差し伸べると、社長はうつろな目でその手を見つめて言った。
 「いやいやいや、失敗じゃぁ・・・付けようとしていた機能が高度すぎて、シェルルン程度の魔力では耐え切れんかったようじゃ・・・わしの、スーパーバンホウの計画が・・・」
「機能を少し減らして、もう一度挑戦してみればいいんじゃないですか?」
社長は、キットンの言葉に、首を横に振る。
「いやいやいや、爆発でシェルルンが全部粉みじんになってしまった。うーむ、素材としてはあまり強くないようじゃな」
「ちょぉぉぉーっとまてぇぇ、っつーことは、おれの、おれの報酬のサングラスは!?」
「すまんのぉ、シェルルンがあってこその設計図じゃからの。もしどうしても欲しければ、もう一度取りに行ってもらうしかない。しかし、バンホウがダメだったんじゃ、透視めがねのほうもシェルルンの貝殻では無理かもしれん」
「だぁぁぁ、んなもん、誰が行くか!」
わたしたちももちろんがっかりしたんだけど、トラップの落ち込みようと言ったら・・・
そのトラップの絶叫が、リングワンダ社に響き渡った。
「ちくしょー、ぜーんぶ、ヒュー・オーシの野郎のせいだ!」
 
 
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ウタカタハマグリ
 海が近い、温暖な気候の、島などに生息するハマグリ科のモンスター。密林などでの発見報告が多く、触手で地面に縦穴を掘り、その底にいる。七色に輝く美しい二枚貝だが、中身はグロテスクなピンク色の触手と本体。微弱ではあるが魔力を持ち、敵や獲物が近づいてくると、ピンク色のもやを吐き出し、その対象の好むもの、大切なものの幻を見せておびきよせ、穴に落ちたところを捕食する。ハマグリではあるが、弱点は水、特に真水で、かけるとすぐに溶けてなくなる。貝殻は、マジックアイテムなどの素材として珍重されており、ハンターたちのあいだでは、シェルルンなどと呼ばれているようだが、まだ発見されて間もないモンスターのため、定着していない。
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プロフィール

HN:
まいむ
性別:
女性
自己紹介:
中学生の時にフォーチュンクエストにはまり、一時期手放していたものの、最近になって改めて全巻買い揃え・・・ついには二次創作まで始めてしまいました。まだ未熟ですが、自分の妄想を補完するためにも、がんがん書いていきたいと思ってます。
温かく見守ってくださる読者様募集中です。

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